第53回中世史サマーセミナー①
今回のサマーセミナーは、「伊達なサマーセミナー」ということで
福島県は南奥羽で開催されました。
福島県でのサマーセミナー自体は初めてではないのですが、東日本大震災後のサマーセミナーが東北で開催されたのは今回が初めて、ということで、なかなか感慨深いものがある、と柳原先生がおっしゃっておりました。

宿泊場所は、飯坂温泉の伊勢屋です。
とっても立派な旅館で、温泉宿という雰囲気に浸っております(笑)

初日の今日は、伊勢屋さんにてシンポジウムが開催されました。
構成は、大報告が三本、小報告が二本で、その後討論という形です。
先ず、杉山一弥氏が「室町幕府・鎌倉府と陸奥伊達氏―政宗~尚宗期の研究―」という題目で報告されました。これまでの伊達氏の研究は、主に個別自治体史に依拠して行われてきている。故に、中央権力との関わり合いも視野に入れながら、当該期伊達氏の範囲を念頭においた上で研究を進める必要がある、との指摘をされておりました。

続いて、泉田邦彦氏が「奥州岩城氏の領域支配構造と「洞」」という題目での報告でした。従来の「洞(うつろ)」論が、北関東の事例を出発点にして行われており、奥羽での「洞」の事例研究はなされていない、という指摘がありました。本報告では、奥州岩城氏を事例に、内訌を克服していく過程で「洞」を構成原理とする地域秩序の再編が行われた、と見ることを提案しておられます。

続いて、山田将之氏が「南奥の中人秩序と豊臣政権の惣無事政策―芦名氏の動向を焦点として―」という題目で報告されました。南奥で展開されていた独自の地域秩序維持システムとして、「中人」を媒介とした紛争解決手段が存在しておりました。これが、豊臣政権発足とそれに続く「惣無事」政策という外圧との関わりで、どのように変質・崩壊していったのかを論点としながら分析を加えておりました。

続いて小報告では、新名一仁氏が「中世後期九州守護勢力と地域秩序」という題目で報告されました。小報告では、主に西日本の事例・研究を取り上げることで、今回の大報告との比較を考察することが目的だそうです。新名氏の報告では、主に「守護」に的を絞って、彼らによる地域秩序編成の動きを捉えて報告されています。

続いて、村井良介氏が「戦国期毛利・大友分国における洞と「家中」―東国との比較のために―」という題目で報告されました。村井氏によれば、西日本にも「洞」という言葉が史料上確認できるものの、その数は非常に少数に限られる。そこで、毛利氏や大友氏関係史料に見える「家中」を見ることによって新しい知見が得られないか、という問題意識をもっておられました。

このように、盛りだくさんの報告が並んでおり、ついて行くのが精一杯でございました(笑)
ただ、討論の段階で、呉座氏の「中人秩序」成立・存続の条件に関する質問があり、非常に興味深いものでした。

シンポジウムの後は、大宴会場にて懇親会が行われました。その後「ビール講」という二次会が開催されました。さらにさらに、その後は有志による各部屋での三次会が行なわれる。というなんとも初日から肝臓フル回転コースでございました。(笑)

明日は山城巡検なので、心してかからねば...(笑)






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